2010年2月24日水曜日

バンクーバー冬季オリンピック カーリング女子日本代表

バンクーバー冬季オリンピックのカーリング女子日本代表は、最終的に3勝6敗で10カ国中、第8位に終わりました。準決勝に進んだのは、カナダ、スウェーデン、中国、スイスの4カ国。日本が勝った3勝の相手は、7位イギリス、9位ロシア、10位アメリカで、下位争いをしたことが分かります。

予選ラウンド順位
順位国名直接対決DSC
1カナダ81  
2スウェーデン72  
3中国631勝0敗 
4スイス630勝1敗 
5デンマーク45  
6ドイツ362勝1敗34.3
7イギリス362勝1敗41.8
8日本362勝1敗52.2
9ロシア360勝3敗 
10アメリカ27  


また、全体的には、中国を例外として、若いプレーヤーの国が苦戦し、経験豊富なチームが上位にいることが分かります。日本は、まだ新参と言えると思いますが、さてこれから、日本はどのようなチーム作りをするべきなのか、注目されます。

その一つの方向は、アスリート型の体力と戦術を重視する作り方。もう一つは、今のチーム(例えばチーム青森)を中心として、経験を積ませる作り方。前者は中国のようなやり方、後者はヨーロッパのようなやり方になります。



ところで、さらにその前提として、今回、日本が苦戦した理由の3つの課題を挙げておきたいと思います。
それは、
1) 環境
2) 経験
3) 資金
です。
ニュース報道では、日本のショット成功率の低さが指摘されます。特に、調子を落としたと言われている近江谷の成功率の低さが、戦術の組み立てに苦労した要因とされています。
もちろん、そうなのですが、それは彼女のショットの正確性に問題があるというより、彼女の経験値とシート(アイス)が合っていないことが原因のような気がします。
つまり、いくら日本のシートで正確なデリバリーをしても、海外の国際大会のシートで正確に投げられるかと言えば、そうとも言い切れないわけです。経験を積めば、その微修正が効くのでしょうが、彼女にはそれが難しかったということではないかと思います。
そこで「経験者を登用すればいい」となるのですが、日本のカーリングの歴史から言って、急には無理です。私はむしろ、海外と同じようなシートを国内に整備する方が対策として正しいのではないかと思っています。
対策1:日本国内に国際大会レベルのシートを整備する
その上で、選手に十分な経験を積ませる必要があります。これは、国内でというよりは、若いうちから積極的に海外の試合に出させて、いろいろな経験を積ませるということです。各会場によって、シートの状況も違うし、プレッシャーも生まれる、そんな状況に慣れさせるべきです。
海外のスポーツ関係の大会などに行って思うのですが、自分の国が内戦をやっているとか、最近まで敵味方に分かれて戦争していた国の対戦相手がいるとか、そういう選手が集まってきます。ちょっと、日本人の仲間内だけは想像できないような環境で試合をするわけですから、日本もそういう環境に放り込んでみるべきです。
対策2:海外の国際大会に積極的に参加させる
そこで、対策1と対策2を実行するためには、当然資金が必要です。今の世の中は、事業仕分けなどの政治状況から、スポーツへの税金を使った助成に限度があります。また、日本の景気が回復していない状況で、企業のスポンサードに期待するのも難しい面があります。
私は思い切って、自主財源を確保すべきと考えています。それは何でも良くて、選手のキャラクター性を前面に押し出すでもいいですし、何かの事業を始めるでもいい。とにかく、誰かから助けてもらって対策をするのでは、その対策の前提(資金)が計画的に調達できるのか、自分たちでコントロールできない状態になってしまいます。
対策3:自主財源を確保する
私の知り合いが、カーリングにハマっています。しかし練習や試合は、東京から長野までわざわざ出かける状況です。何でもそうですが、裾野が広くないと頂上は高くなりません。裾野が広がるような施策も、合わせて取ってほしいと思っています。
私の別の知り合いに、「負けた時は敗因の分析をするべきだ」という人がいるので、私なりに分析してみました。これが合っているかどうかは、分かりません。しかし、近江谷の不調が日本チームの足を引っ張った、という簡単な話は、分析でも何でもなく、単なるバッシングだと私は思います。
私は、8試合目・対スウェーデン戦の目黒のスキップを見ていて、近江谷の不在が彼女に相当な負担増を強いたのではないかと感じました。不運もありましたが、戦術的なミスもありました。私は、第9エンド終了時点で、コンシード負けを選択すると思ったのですが、彼女はそのまま第10エンドに進みます。
確かに、最終エンド・後攻で、4点差を覆せる可能性がないわけではありません。しかし、スウェーデンは確実に守りに来ますから、あの状況では、スウェーデンがミスショットを連発しないと、確実にストーンをはじいてきます。結局、第10エンド途中で、目黒はコンシード負けを選択せざるを得ない状況になりました。
彼女の選択は、あのまま終わってしまうのは、彼女自身が納得がいかなかったためだと思います。多分彼女なら、コンシード負けに追い込まれることは分かっていたことでしょう。
彼女が、試合をうまくコントロールできなかったことを悔い、誰のせいでもないと分かりつつも、「近江谷がいたら」ということが頭をよぎったことはなかったでしょうか。
さて、私が何をするかと言えば、選手にはなれないので、専門のICTを使って盛り上げていきます・・・。
PS
日本のバンクーバー冬期オリンピックでの成績は、私に取っては想定の範囲内ですが、「ひょっとして準決勝に進めるのでは」という期待を裏切ったのは確かです。
ただ私は、日本は絶好のチャンスにあると考えています。
今年のオリンピックで活躍したチームの国々では、失礼ながら、年齢を重ねた選手が引退しない限り、若い人が参入するのは難しいでしょう。
しかし日本では、20代の若い選手がオリンピックに参加するチャンスがあります。カーリングの人気もそこそこありますし、日本の若い人が、「自分もやってみよう」「自分もオリンピックに出てみよう」という希望や夢が、叶う環境にあるわけです。10年後、20年後は、日本もそこそこメダルを狙える位置にいるかも知れません。そしてそれは、私が挙げた課題を着実に解決していけば、十分に達成可能な目標だと思うのです。

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