2005年12月31日土曜日

21世紀型資本主義

ここ数年は日本の社会が大きく変わりつつあると感じています。これは小泉首相の政策に依るところも大きいですが、所謂市場主義の適用範囲をできるだけ広げようとするアメリカ型の社会を標榜するものです。

例えば、私も仕事をする上で常に「コスト」を意識します。いかに安く仕事を進めるか(少ない労力で、少ない人材で、少ない時間で・・・)を考えない事は無いでしょう。
しかし、今年のキーワードとも言える「勝ち組」「負け組」に代表されるように、結局市場競争で勝ち残るものが勝者であり、正義であるという考え方が行き着くところは、JR西日本の大惨事であり、構造設計偽造に代表される欠陥マンション・ホテルの建設なのかもしれません。市場競争原理の基盤が「倫理観を失わない」という薄氷の上に立っている事も痛いほど認識させられました。

私の仕事の分野であるIT(情報通信技術)は世界を画一的な基準(所謂“グローバルスタンダード”でしょうか?)で市場原理に基づいて競争させ、消費者(利用者)に安く良いものを提供すると説明されています。
結果、世界に投網をかけるように課金システムを使った集金が行われ、富が集中する現象を起こしていないでしょうか?

私はITを「個」がもっと主張できるツールとして利用したいと考えています(私はどちらかというと啓蒙主義的(既に古い)なので、例えば伝統を守るというよりは伝統を還元して代替できるところは現代のツールを使うべきという考え方です)。

ヨーロッパではスローフード運動が提唱されています。日本でもそれに呼応して食育が重用視されています。スローフード運動は「食」そのものはもとより、食材を提供する農業や背景となる文化を包括的に生かして行こうとする運動ですが、考え方によってはコスト競争の論理と並立しないかもしれません。

大長今(「宮廷女官 チャングムの誓い」)で料理の心得を話すハン尚宮の言葉が新鮮に聞こえるのは、儒教文化を色濃く残す韓国社会が生み出したドラマを日本人である私が聞いているせいですが、普遍的命題としてもう一度見直してみる必要があるかもしれないと感じています。

さて、今日は大晦日です。あと数時間で2005年も終わります。私のしょーもないブログをどの程度の方がご覧頂いているか、分かりませんが、お付き合い頂いた方には厚くお礼申し上げます。また来年もよろしくお願いします。

それでは、良いお年をお迎え下さい

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